
みなさん、このグラスのワインは何だとお思いになるでしょうか?
どう見たって赤ワインっぽいですが、これがなんとリースリングなんです! 1989年ラウエンターラーバイケンのトロッケンベーレンアウスレーゼ(TBA)です。
三重ドイツワインケナー会長・小泉さんの秘蔵ワインを飲ましていただきました。

赤ワインっぽいですが、フチの色が赤にしては違和感があります。

ちなみに、3番目の写真はヘレンベルガーさんのリースリングのTBAです。これだって白ワインとは思えない色の濃さです。
この写真は2015年に撮ったもので、ヴィンテージが2013年です。
ワインは年を経ると赤ワインは白ワインのように、白ワインは赤ワインのようになると聞いたことがありますが、この1989年のバイケンほど濃いのは、私は見たことありません。
飲んでみたところの感想は、「魔女」ですね。世間では「微魔女」という、高齢なのに若く見える女性をこういうそうですが、このワインには枯れたところを感じませんでした。
酸ももちろんしっかりしていますし、豊かな味わいがあります。ワイン会の最後に出たので、私が見落としたのだと思われるかもしれませんが、84のエゴン・シャルツEisでは枯れ味が出てきたのがわかりました。(エゴンももちろん美味しいです。枯れたワインではありません。熟成による枯れ味も追加されて、複雑味を増したと思ってください)
このバイケンは、本当に元気で、枯れ味も出てきてもおかしくないほどの年数を経ているのですが、今思えば枯れ味を完全に溶かして統合してしまっていたのかもしれません。
昔、お客様に「リースリングのTBA」依頼されてバイケンの2003年TBAのハーフを探したことがあります。その写真を後からお客様からみせていただき、「すごく茶色くてびっくりした」とお聞きしたことを思い出しました。
今回の89バイケンTBAは、それをはるかに上まわっています