
シニアワインアドバイザー1次試験の終了後に、ビデオによるテイスティング講座がありました。
テイスティング方法は、私がシニアでない、ワインアドバイザー試験を受けた時(1991年ごろ)と比べてずいぶんシステマティックになった感があります。当時は田崎眞也さんがソムリエ世界一になる前で、ソムリエ教本を見てもアロマとブーケ(熟成に由来する香り)という用語はあるものの第2アロマ(醸造に由来する香り。第1アロマはぶどうに由来する香り)という言葉は載っていません。マイケル・ブロードベンドの『ワインテースティング入門』にも第2アロマは載っていません。
私が第2アロマという言葉を見たのは、田崎眞也さんの『ワイン味わいのコツ』(1995年)が最初に見たときじゃあなかったかな? ちなみにこの本の初版は95年4月で世界一になったのも95年5月ですから、コンクール前の多忙な時によく書いたもんですね。これにはムーラン・ナヴァンで感じるバナナの香りが低温発酵によるもので、それは第2アロマ、と書かれています。ここで今のソムリエ協会の提唱するテイスティング方法論の原型が定まったと思います。
ソムリエ協会のテイスティング試験も年を経るごとに項目が増えてきています。91年ごろの試験では、ブドウ品種と生産国の記述問題は確かにありましたが、その答えを引き出す過程を問う問題はあまりなかったように思います。近年でも2年前と去年で項目が結構増えました。
色調がこんなのはこれこれの原因があり、この香りはこれこれの要素であり、酸、甘み、タンニンの質、バランスを分析して、そこからワインの素性を探り、さらにそこから発展させてよりおいしく飲むにはどうしたら良いかまでを理論づけていくのが今のスタイルになっています。いやー、昔は、ヒラメキというか職人芸みたいな感じでテイスティングしてたよなあー。
用語を共通にしようという意思もあります。私なんかは、白ワインの色調の用語に少々違和感を感じてしまいます。淡い色調でも濃く表現しています。これは色調がぶどうの熟成度に関係するからであって、プロ同士では、共通の用語で意味が通じるものの、一般の人にとってはとまどいを感じるかもしれません。